例えば市販品、ホットイナズマには5種類ありますが、(HR/LR/MR/ハイパー/ECO)正直中途半端なモデルは要らない訳です。一番良い物を買えば買い替えしなくて済むという結論に達します。(その意識を狙って複数機種用意しているというお話もありますが・・)最上位機種でしたら性能的にも最も満足するのは当然ですが、これは同じ事が自作品にも言えます。「HR相当」「LR相当」という様な中途半端なスペックはどうでも良い事ですが、仮に自称「最高品」を購入したとしても、不具合が発生した際に満足出来るサポートが提供されず、結果買い替えとなれば、当初の倍以上の金額を捨てる事になります。



オーナー様から「どうしてSpeedexでは専用のプリント基板を使ったりしないんですか?」というご質問を頂戴する事がございます。見れば自作品で「信頼性の向上」を謳ってプリント基板を使用している個体もある様です。一般的な工業製品にはどうしてプリント基板を使っているのか、その理由を考えてみましょう。

1.主要な配線は全て基板にプリントしてあるので、製作側の手間(時間)を大幅に短縮できる

2.時間当りの生産台数が増加するので、その結果1台のコストを安くできる(規模のメリット)


→つまり、専用プリント基板を導入すれば、オーナー様には本来、従来より安い価格をご提示できる筈なのです。

以前は個人が専用プリント基板を導入する事はコスト的にも無理があり、小ロットでは受け付けてもらえる会社もありませんでしたが、現在は小ロットでも気軽に利用できる程安価になっており、そうした小口注文に対応する企業も多数存在します。「高価すぎて個人レベルでは採用できない」というのは過去のお話です。勿論当方でも導入しようと思えば即導入は可能です。企業がプリント基板を使うのは、製作コストと時間を削減する為です。値上げをする為ではないのです。

問題は、一時的に導入に費用が掛かった事で、その費用を本体価格に上乗せして、値上げしているとしたら、それはユーザーの利益に反するという事です。
また、数十年使用する様な装置であればまだしも、数年間の寿命の装置にプリント基板を使用する事は、必ずしも「信頼性の向上」としてユーザーメリットになるとは考えておりません。

<<プリント基板導入→製作工程の減少→規模のメリットにより1台の製作コストは低下→導入費用を消費者に負担させる→実質的な値上げ>>

Speedexではプリント基板を採用しておりません。「コストが下がるなら採用すればいいのに・・」と思われるかも知れませんが、それには勿論理由がございます。Speedexはご存知の通り、同じ物を延々と作り続ける性質のプロジェクトではございません。常に先を見て「どうしたらより効果を出せるか」「先端技術を適正な価格でご提供する」それだけを追求しております。当然バージョンアップも頻繁に行う事となりますが、こうした常に進化する構造の装置には、専用プリント基板は向いていないのです。(機種の発売サイクルの短い携帯電話の世界では、機械による専用の生産ラインは組まれず、組み立ては工員による手作業で行われているのに似ているかも知れません)ですから時間は掛かりますが、オーナーの皆様には最新の設計と部品、回路にて装置をご提供出来ます様、アナログ的ではありますが、開発設計者である当方の手作業による製作をさせて頂いております。(自分の手で一つずつ、責任を持って製作させて頂きたいという気持ちが非常に強い事もございます)仮に当方がプリント基板を採用した場合、間違っても値上げは致しません。それはサービスではなく、理論上そうなる事が当然だからです。



確かにそれだけで「良さそう!」と思ってしまいそうな甘いフレーズかも知れません。しかし大切なのはここからです。「どの様なコンデンサの組合せをしていて、合成容量が○○μFになっているのか?」これが大事な所なのです。(個人的には、それだけでも不満です。それ以外に、何かもっと効率を良くする工夫はあるのか?それらに本来は注目したいと考えております。組み立てだけでしたら誰にでも出来る事ですので・・)コンデンサの種類はそう多いものではありませんので、組合せなど知れています。にも関わらず、合成容量だけ表示して、組み合わせを表示していない。尋ねてみても「内部は企業秘密ですので・・・」これでは致命的なアウトでしょう。合計の数値が同じなら全てOKという程単純な物ではございません。実用性のない組み合わせでは意味がありませんし、中には「これは手元にあった半端物のコンデンサで作った物じゃないかな?」と思える物まであるのには言葉も見つかりません。基本的に使用部品を記載していない物は論外ですし、信用に値しません。食品にも同じ事が言えるのではないでしょうか。原産国は勿論、添加物の記載すら全くない食べ物は不気味です。どうしてもその装置に固執したい要素がおありでしたら、是非製作者にご質問頂く事をお勧め致します。その返答内容でどんな製作者であるかが垣間見えるかも知れません。



使用部品の写真を公開している物も良く見受けられます。一見良心的かと思ってしまいますが、複数のコンデンサの中に何故か色が違うものが混じっていたりします。「様々なメーカーの中から最も良い組み合わせの物を厳選しました!」確かに一見理に叶った文句に思えます。ですがここには致命的な間違いがあります。それは、「コンデンサは数値が全く同じ部品であっても、生産メーカーが違えば寿命や信頼性、計測基準に非常に大きなバラつきがある」という事です。つまり複数コンデンサを使う中で、基準の異なる部品の組み合わせをした時には、その中の1つだけが突然破損したり、本来の性能を発揮出来なかったりする事が普通に考えられるという事です。「無名のメーカーだけれど、とりあえず数値が同じコンデンサが激安で売っていたから使ってみました」これが本当のところであると考えるべきでしょう。パソコンを自作する方々にとっては常識だそうですが、「コンデンサに関しては国産の高品質な物を使わなければ、結局後で泣きを見る」それ程デリケイトな部品なのです。勿論「安くて良い物」も世の中には沢山ございますが、こと高度な信頼性が要求される装置に関しては、「高信頼・高価な部品を存分に使う」事でしか良いものは出来ないと考えております。極論の様ですが、シビアな事実です。



「ノーマルタイプだけでもそこそこ効果はありますが、スーパータイプと2個同時装着すると効果は更にアップします!」という様な文句も見かけます。しかし、そんな事を言うのでしたら最初から2個の部品をまとめて1つにする事は出来なかったのでしょうか。設置場所の面でも金銭的も無駄ですし、明らかに金儲けの為の浅はかな考えにしか思えません。そもそも中途半端なスペックの機種を複数設定する事自体が無意味です。どうして最初から「これが自分にとっての最高の物、これ以上の物は今の所作れない」こういう装置を一つ、作らないのでしょうか。相乗効果を信じるユーザーに同じ物を多く買わせようとする狙い・・・完全に車好きを食い物にしています。当方も広義ではユーザーの一人ですから、こうした製作者の狡猾なやり方は非常に不愉快です。「自作品」―製作者の常識や良心、資質が問われる物だからこそ、中途半端な事はして欲しくありません。当方が相乗効果をご説明する際には、明確な理論展開をさせて頂きますのでご安心下さいませ。


コンデンサは電子部品であり、残念ながら寿命がございます。これらの寿命は耐熱レベル等によって大きく変わって参ります。ですからSpeedexではオーナー様に出来るだけ長くご愛用頂けます様、コンデンサからケーブルまで、必要十二分なスペックのものを採用の上ご提供させて頂いております。

回路設計に関しましてはロスを徹底的に省きましたが、コアとなる部品の品質は常に最新且つ最高を要求しております。ここで言うところの「過剰なスペック」とは、「考えられうる必要量を十二分以上に満たす物」という事で、例えばコンデンサに35V対応の物を使う等というのは、本来一般自動車ではありえないボルト数であり、「とりあえず数値が大きければ、皆良いと思うだろう・・」という、販売価格を上げる為の無駄な設定にしか思えないのです。市販品が12Vのところを、既に倍の24Vのものを採用している現状がある中、更に35Vを使うという意図と意味が理解出来ませんし、実際そのメリットもございません。プールに泳ぎに行くだけなのに、「1,000m防水対応の特殊潜水腕時計を買わないと駄目ですよ」と高額な時計を売りつけられそうになっている様なものなのです。



メーカーやショップがリリースする装置も、造りや効果が最高で満足出来れば高額であっても納得出来ますが、やはり社員を抱えている関係上、企業運営と人件費支払いの為、どうしても「コスト削減」「利益追求型」になりがちです。そしてそうする事が企業運営でもあります。「さすがは会社だけあって、個人とは比較にならないスペックと効果、価格だ!個人のなんて買えないね!」そんなパーツに出会えた事がおありでしょうか。少なくともSpeedexの様なカテゴリの装置に関してはないのではないでしょうか。(マフラーやエアロパーツ、ターボキット等は社外品としてある程度のメリットはあるかと思います)Speedexはあくまで「設計者による自作」ですので、極論になってしまいますが「あらゆる自作品の中で、これが常に最新且つ最高のスペックであり、最もオーナー様にご満足をご提供出来る物だ!」と、当方個人とオーナー様のご満足の為だけにやっています。これで食べていく訳ではありませんので、赤字でなければ利益等はどうでも良い訳です。何より当方自身「ドライバー」であり「ユーザー」ですので、真にオーナー様側の気持ちになって製作させて頂けるというのが一番の強みであると考え、自身の小さな良心とオーナー様のご期待、ご信頼を裏切る事のなき様、今後も製作活動を続けさせて頂きます。「大した力もない個人がどこまで出来るというのか」という気持ちもございますが、好きでさせて頂いている製作作業ですし、オーナーの皆様の暖かいご支持を頂ける限り、自身の良心でどこまで追求出来るのかという挑戦でもあります。「全てはオーナー様の為に―」言葉だけでなく、それを自身の行動とオーナー様のご満足で証明したいと考えております。